10. p53のN末端を欠損したp53アイソフォームはマウスの寿命を調節する
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大木理恵子, 田矢洋一
キーワード
p53、アイソフォーム、p53/p47、p44
p53ファミリーであるp73やp63には、多くのアイソフォームが存在していることが知られている
一方、ごく最近まで、p53のアイソフォームは見つけられていなかった
2002年に初めてp53のN末端の40あるいは44アミノ酸を欠損するp53アイソフォーム(p53/p47)が報告された
このアイソフォームと完全長のp53の発現レベルのバランスにより、転写誘導される標的遺伝子が異なっていることが示された
具体的には、N末端を欠損するアイソフォームが多く存在するとp21WAF1/CIP1の転写は抑制され、逆にBaxの転写は増強された
また、N末端を欠損するアイソフォームは、完全長のp53とも四量体を形成することができ、この四量体は、完全長のp53だけからなる四量体よりも安定であることが示された
そして、2004年には、マウスのN末端を欠損するアイソフォーム、p44を過剰発現するトランスジェニックマウスが作製された
このマウスにおいては、早期に老化が始まり、寿命が短くなることが示された
また、当初p53/p47は、選択的翻訳により生じると報告されたが、選択的スプライシングによっても生じることが示された
今後、p53/p47を含めたp53アイソフォームの詳細な研究により、これまでに知られなかったp53の機能が明らかにされることが期待される